家の新築・建替えに伴うお金について、疑問や不安はありませんか?
今回は、新築・建替えの際に起こる相続のトラブルについて、ファイナンシャルプランナーの天谷悟史さんに解説いただきました。
【家に関わるお金の相談1】親の土地に子供が家を建てる際に起こった相続トラブル
2019年6月10日
注文住宅の個別相談会でよくご相談いただくのが、親の土地に子供が家を建てる場合についてです。
今回は実例を交えて、父親名義の土地に息子が家を建てる際に起こった相続トラブルについて解説します。
相続で起こるトラブル
相続が発生した場合、その相続財産は相続人全員の共有財産となります。
その後、相続人間で話し合いを行い、「遺産分割協議書」という書類を作成します。遺産分割協議書には、相続人が全員同意した旨の署名と押印(実印)が必要です。
相続トラブルと言われている事例のほとんどは、この「遺産分割協議書」の作成段階でのトラブルです。
今回は、
「父名義の土地に長男が家を建築する。」
「父名義の土地に長男が二世帯住宅を建築する」
よくある話から、トラブルに発展したケースの紹介です。
父親名義の土地に長男が家を建てた
(家族構成)
父・母(すでに死亡)・長男・次男
(財産)
金融資産 1,000万円
自宅 土地2,000万円 建物300万円(長男が住宅建築したため、滅失)
父親が所有する土地に、長男が住宅ローンを利用し、自宅を建替えました。
建物の名義は長男、土地の名義は父親のままです。
この状況で、父親の相続が発生したとします。配偶者は既に亡くなっており、相続人は長男と次男です。
法定相続割合は、長男と次男がそれぞれ2分の1ずつです。
法定相続割合は、法律で規定されてはいますが、相続人の間で合意ができれば法定相続分と違った割合で分割することも可能です。その合意を書面にしたものが「遺産分割協議書」です。
今回のケースの場合、父親の相続財産は金融資産1,000万円と土地2,000万円の合計3,000万円です。
土地の上にはすでに長男の自宅があるため、長男としては土地を全て相続したいと考えました。長男は金融資産1,000万円を次男が相続する案を提示しましたが、不公平であるとして、合意してもらえず。そしてトラブルへ・・・
遺言書の重要性
父親が生前に遺言書を書いておけば、今回のようなトラブルは避けることができました。
遺言書があれば、相続人間で話し合いをする必要もなく、遺産分割協議書を作成する必要もありません。遺言書の内容の通りに財産を相続させることができます。
遺言書の内容としては、
「長男に土地(2,000万円)を相続させる。次男に金融資産1,000万円を相続させる。」
という内容の遺言書を作成していればよかったことになります。
ただ、遺言書を作成する際の注意点として「遺留分」という相続人が最低限相続できる割合を考慮する必要があります。遺留分は相続人の構成によって異なりますが、今回のケースでは、法定相続分(次男=1,500万円)の2分の1です。つまり、全体の4分の1ということになります。
上記の内容の遺言書を作成した場合、次男は相続財産の3分の1を受け取ることになるため、遺留分を侵害するという心配もありません。
そして最後に、
「私の亡き後も、兄弟仲良くしてください。」の一言を。
この一言があるだけで、次男の不満も少しは解消されることでしょう。
まとめ
遺言書を作成することで、相続トラブルの多くは避けられます。
是非、遺言書の作成を検討してみてはいかがでしょうか?
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