設備間取り

バリアフリーのポイントを押さえて子供からお年寄りまで安心できる家づくり

バリアフリーの家というと、高齢の方や障害を持つ方のための家というイメージがあるかもしれません。
しかしバリアフリーを意識した家は、体が不自由な方はもちろん小さなお子様まで、家族みんなが安心できる家になります。

今回は、バリアフリーの家を作るポイントをご紹介いたします。

バリアフリーとは

バリアフリーのポイントは、ハンディキャップがある人々の移動や行動を阻む物的な障害がないこと。
住宅の具体的な箇所でいうと、昇降時にバランスを崩しやすい玄関出入り口の段差や階段、躓きやすい室内の小さな段差、足を滑らせるなど転倒の危険のある廊下やトイレ、浴室などです。
この障害を解消することは、小さなお子様の安全や、大きな荷物を持った移動時の安全にも繋がります。
また、怪我や病気など、体が思うように動かなくなることは誰にでも起こりうる問題です。
体が一番元気で自由に動く状態ではなく、思うように動きにくい体の状態を基準にすることで、長く快適に住むことができる家になるのです。

家の中全体で共通して押さえておきたいのは下記の5点です。

  • 滑りにくいフローリング・床材を選ぶ
  • 出入口の小さい段差をなくす
  • 大きな段差がある場所には手すりを設置する
  • 足元が暗くなる場所には自動点灯の足元灯を設置する
  • スイッチは押しやすい大きめのものを選ぶ

では、それぞれの場所についてさらに詳しく見ていきましょう。

玄関・ポーチ

玄関ドアまでのアプローチをスロープにすることができれば、車いすやベビーカーでの出入りに便利です。
それだけのスペースを割けない場合は手すりを設置することで、体を支えながら安全に出入りができます。

玄関・ポーチの床材は特に、水はけがよく雨に濡れても滑りにくい素材を選ぶのが大切です。

玄関灯を自動点灯のものにしたりセンサーライトを設置すると、夜間足元が暗い中での移動が安心です。

玄関の上がり框は低く設定することで上り下りしやすくなりますが、難しい場合は踏み台を置くことで高低差を解消できます。

靴の脱ぎ履きに、安定して座れるベンチや椅子があると安心です。
十分なスペースが取れないという場合は、壁に固定する折り畳み式のベンチも便利です。

階段

勾配を緩やかにすると、上り下りがしやすくなります。
バリアフリーの基準では、蹴上げの高さを16cm以下、踏み面の奥行きを30cm以上確保するのが望ましいとされています。
駅の階段をイメージしていただけると、その勾配がわかりやすいのではないでしょうか。
階段の角度が緩やかになると、床面積に対して階段のために必要な面積の割合が多くなるので、住宅でそれだけの余裕を持つのは難しい場合がありますが、通常23cmの蹴上の高さを20cmにするだけでも角度が変わり上り下りがしやすくなります。

手すりは、連続したものを設置しましょう。
階段の途中で持ち変えの必要があると、バランスを崩す危険があります。
また、見た目のデザインよりも、しっかりつかみやすい手すりを選ぶことが重要です。

トイレ

トイレットペーパーホルダーは、便座に座ったまま届きやすい位置に設置し、片手で紙を切ることができるタイプのホルダーにしましょう。

高齢の家族が同居する場合は、寝室とトイレは同一階に。可能であれば、寝室から近い場所に設置しましょう。
介助が必要な場合は、広さを十分に取っておくことも大切です。

車イスの利用がある場合は開口部の有効幅員は広めにしておきましょう。
介助用車イスであれば750mm以上、自走用車イスの場合は車イス自体の寸法が大きくなるため950mm以上確保する必要があります。また入室時に回転する余裕をみて廊下の幅員は780mm以上の広さが必要です。

浴室

濡れた床や石鹸・シャンプーで滑りやすいため、転倒の危険がある浴室。
特に出入りの段差には注意が必要です。
浴室の出入り口の小さな段差でもつまずくことがあるので身体を支えやすい位置に手すりを設置するのがおすすめです。
また、浴槽への出入りでもバランスを崩しやすいため、浴室付近にも手すりを設置すると良いでしょう。

椅子などでいったん腰を掛けてから入ることができるようにするとさらに安心です。

その他

よく開け閉めする扉は、軽い力で開け閉めできる引き戸か折り戸が良いでしょう。
上吊り式の引き戸なら敷居が必要ないので、段差ができません。

洗面やキッチンの水栓は、扱いやすいシングルレバーのものがよいでしょう。

まとめ

今回はバリアフリーの家を作るポイントをご紹介いたしました。
すぐにすべてを取り入れることは難しくても、後から手を加えにくい部分のみ新築・建替え時に対応しておき、壁の中に手すりのための下地を入れておくなどの工夫で、将来のリフォームの負担を軽減することも可能です。
家族みんなが安心して暮らせるよう、ご参考になさってください。

※本記事は、2020年3月19日時点の情報になります。

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